
はじめに
最近、Snowflake Intelligenceを使ったAI活用が注目されています。 しかし「AIアプリ作成」と聞くと、エンジニアの仕事という印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、営業メンバー(非エンジニア)が Snowflake Cortex Code(以下Cortex Code)を使ってSnowflake Intelligenceを実際に作成してみるという取り組みを行いました。
今回の企画
こんにちは! インテージテクノスフィアの平林です。 今回は、営業メンバーと一緒にSnowflake Intelligenceの作成を体験するハンズオンを実施しました。 普段はエンジニアが中心となって開発を行うことが多い領域ですが、「非エンジニアでもどこまでAIアプリを作成できるのか」を実際に試してみることが今回の目的です。
ハンズオンでは、開発支援ツールとしてCortex Codeを利用し、営業メンバーがプロンプトを入力しながらSnowflake Intelligenceのアプリケーションを生成していく形で進めました。私は技術リードとして操作のサポートや仕組みの解説を行いながら進行しました。
短時間のセッションではありましたが、実際に手を動かしてもらうことで、AIを活用したデータアプリケーション作成の流れを体験してもらうことができました。本記事では、そのハンズオンの流れと参加メンバーの感想、そしてエンジニア視点で感じたポイントを紹介します。
Cortex Codeとは?
Cortex Codeは、Snowflake上でネイティブに動作するAIコーディングエージェントです。 単なるチャットボットではなく、SQLやPythonの生成、既存コードの最適化、さらにはStreamlitアプリの開発までをSnowflake環境内で完結して支援します。
1. Snowflake専用設計による「精度の高さ」
最大の特徴は、Snowflake特有の構文や最適化ロジックを深く理解している点です。アカウント内の実際のメタデータおよび実データを参照するため、その環境ですぐに実行可能なコードを提示してくれます。
2. 安心のガバナンスとセキュリティ
Snowflakeのアクセス権限(RBAC)をそのまま継承するため、ユーザーが権限を持たないテーブルを誤って参照することはありません。また、すべての処理がSnowflake内で完結し、データが外部AIサービスに送信されないため、セキュリティ面でも安心して導入できます。なお、実際の利用時は自社のセキュリティ要件に照らして確認してください。
3. エンジニア・非エンジニア双方への価値
エンジニア: 手作業によるコーディングや外部ツールへの依存を減らし、開発効率を劇的に向上させます。
非エンジニア: プログラミングスキルがなくても、自然言語で指示を出すだけでデータ活用やアプリ作成に参加できるようになります。
このようにCortex Codeは、組織全体の開発自動化とデータ活用の民主化を同時に実現する、Snowflakeユーザー必見の機能といえます。
今回作ったSnowflake Intelligence
今回のハンズオンでは、Cortex Codeを使って、簡単なSnowflake Intelligenceアプリケーションを作成しました。 作成したアプリでは、Snowflake上のデータに対して自然言語で質問し、分析結果や説明を取得することができます。例えば次のような操作が可能です。
- 今月の売上トレンドを教えて
- 商品カテゴリ別の売上をグラフで表示して
- 売上が伸びている要因を分析して
実際に作ってみた
今回のハンズオンでは、"すべての作業をCortex Codeに任せてみる" をコンセプトに進めました。 参加者にはあえて事前調査を行わず、操作に迷った場合は必ずCortex Codeに質問して先に進むというルールで取り組んでもらいました。 それでは、その様子をステップごとに紹介します。
Step1:作りたいSnowflake Intelligenceを決める
参加者には、Snowflake上にどのようなデータがあるか、どんな分析が可能かを事前に説明していません。 まず最初のタスクとして、Cortex Codeに対して
「このアカウントで利用可能なテーブルにはどのようなデータがあり、Snowflake Intelligenceでどのような分析ができそうですか?」
と尋ねてもらいました。 Cortex Codeは、ユーザーの権限で参照可能なテーブルのメタデータに基づいて、どのようなデータが格納されているかを説明し、そのデータを用いて得られる分析のアイデアや可能なインサイトを提示してくれました。 (※Cortex CodeはユーザーのRBACルールに従うため、アクセス権のないテーブルは表示されません。)
Step2:Snowflake Intelligenceを作成する
分析テーマが決まったら、Snowflake Intelligenceを動かすためのオブジェクトを作成します。 参加者には、Cortex Codeに
「Snowflake Intelligenceで分析を行うには、どのようなステップで何を作ればよいですか?」
と質問してもらいました。 Cortex Codeは、公式ドキュメントにも記載されているSnowflake Intelligenceの構成要素に沿って、
- セマンティックビューを作成する
- Cortex Agentを作成する
- Cortex AgentをSnowflake Intelligenceアプリに接続する
という手順を提示しました。
続いて
「手順に沿って必要なオブジェクトを作成してください」
と依頼すると、 Cortex Codeは セマンティックビューとCortex AgentのCREATEコマンド、必要な設定項目などを順番に生成し、参加者はそのまま実行するだけで Cortex Agentを完成させることができました。
さらに、
「作成したCortex AgentをSnowflake Intelligenceから利用するにはどうすればよいですか?」
と質問すると、Cortex CodeはSnowsightのUI上での接続手順(アプリからAgentを選択する操作)を説明。 参加者全員が、Cortex Codeの支援のみでSnowflake Intelligenceからデータ分析を実行できる状態を作成できました。
Step3:チューニングや追加設定をする
最後に、完成したSnowflake Intelligenceをより高精度にするためのチューニングも体験してもらいました。 参加者がCortex Codeに
「より精度の高い回答を得るにはどうしたらよいですか?」
と尋ねると、Cortex Codeは改善アプローチとして、
- セマンティックビューにVerified Queries(検証済みクエリ)を追加する
- Custom Instructions(カスタム指示)でドメイン知識やルールを追加する
- Cortex Agentにオーケストレーション手順を設定する
などを提案しました。 さらに、必要な設定内容やSQLの例まで自動生成してくれたため、そのまま追加設定を行ったところ、 参加者が設定前よりも具体的で正確性の高い回答が得られることを実際に確認することができました。
以上が、1 時間で体験したハンズオンの内容です。 Cortex Codeの強力な支援により、エンジニア経験の有無に関わらず、Snowflake Intelligenceの作成からチューニングまでを短時間で実践することができました。
営業メンバーの感想
今回のハンズオンには、普段は営業として活動しているメンバーにも参加してもらいました。 特に多く挙がったポイントを簡単にまとめると、次のような点でした。
感じたメリット
- ラフなプロンプトでもエージェント生成やデバッグまで進むことに驚いた
- コードを書かなくてもAIアプリ作成の流れを体験できた
- 疑問点をそのまま質問できるため、仕組みを理解しながら進められる
活用にあたってのポイント
- データ整備やカタログ情報の充実がアウトプット品質に大きく影響する
- プラットフォーム構造を理解していないと使いこなすのは難しい
- 権限やデータ操作に関する制御は重要
それでは、実際に参加したメンバーのコメントを紹介します。
■Yさん(営業)
データが整備されていれば、Cortex Codeにラフなプロンプトを入力するだけで、エージェント生成からデバッグまで進んでしまうことに驚きました。AIアプリ作成というと専門的な開発を想像していましたが、ここまで簡単に形になるとは思っていませんでした。
一方で、実際に触ってみてデータ整備の重要性も感じました。目的に応じたデータ設計やカタログ情報が充実しているほど、より良いアウトプットが得られそうです。
■Sさん(営業)
これまでセミナーなどでSnowflake Intelligenceの話を聞くことはありましたが、自分で実現できるとは思っておらず、実際に触ってみて純粋に楽しかったです。
コードの相談だけでなく、クエリ実行やアプリ作成まで進めてくれる点には驚きました。一方で、仕組みを完全に理解していない状態で自動的に処理が進むことには少し怖さも感じました。適切な制御があれば、データ活用の可能性が大きく広がるツールだと感じました。
■Mさん(営業)
Snowflake自体を触るのが初めてだったため、画面や操作性を知るだけでも新鮮な体験でした。途中で疑問に思ったことをCortex Codeにそのまま質問すると、処理内容や判断理由を説明してくれる点がとても便利だと感じました。
一方で、Snowflakeで何を実現したいのかが明確でないと、指示を出すこと自体が難しいとも感じました。エンジニアが基盤や権限を整えた上で、ユーザーが活用していくような形で特に効果を発揮しそうだと感じました。
エンジニア視点で見たCortex Code
非エンジニアメンバーからは「想像以上に簡単」「AIアプリ作成のハードルが下がった」といった声が聞かれました。 では、技術的な観点ではどのように見えたのか。今回ハンズオンをリードしたエンジニアの視点から整理してみます。
まず、技術的に特に印象的だったのは、Cortex CodeがSnowflakeの構造を前提にした「正しい作業順」を自然言語だけで導いていく点です。セマンティックビューの生成、Cortex Agentの定義、Verified QueriesやCustom Instructionsの追加によるチューニングといったSnowflake Intelligence特有の一連のステップを、曖昧なプロンプトからでも自動で組み立て、コードや設定例まで提示していく様子は、従来のLLMによる支援よりも確実に“Snowflakeに最適化された開発アシスト”になっていると実感しました。
一方で、非エンジニアの参加者が感じた自動で処理を進めてしまうゆえの仕組みが見えにくい不安は、Cortex Codeを活用していく中で非常に重要なポイントだと感じました。エンジニアとしての知識があれば「何が起きているか」を推測できますが、非エンジニアにとってはAIが“正しいかどうかわからないものを勝手に進めてしまう”ことが心理的なハードルになるのだと気づきました。
こうした不安を解消し、非エンジニアでも安心して作成できるようにするためには、エンジニア側の工夫が欠かせません。たとえば、
- RBACを整理し、「見えるべきものだけ見える」環境を用意する
- テーブル名・カラム名・タグ・説明を整え、メタデータをAIに読みやすくする
といった工夫によって、誰もが安心して開発を進められる環境を整えていくことが不可欠だと考えています。
Cortex Codeは非エンジニアでもSnowflake上で高度な構築プロセスを進められる強力なツールでありながら、エンジニアの役割がなくなるわけではありません。むしろ、エンジニアが基盤とガバナンスを整備し、安心して自走できる環境を提供することで、初めて “誰でもSnowflakeを活用できる体験” が成立すると強く感じました。
まとめ
今回の取り組みでは、営業メンバー(非エンジニア)がCortex Codeを活用し、Snowflake Intelligenceの作成に挑戦しました。 実際にハンズオン形式で触ってみることで、プロンプトベースの操作からAIアプリケーションが生成される流れを体験することができました。
参加メンバーからは「想像以上に簡単に形になる」という驚きの声が多く上がる一方で、データ整備やメタデータの充実、適切な権限管理など、データ基盤の設計がアウトプットの品質に大きく影響することも改めて実感しました。
Cortex Codeのような開発支援ツールを活用することで、エンジニアが基盤やガバナンスを整えた上で、ユーザーがSnowflake Intelligenceを通じてデータを活用する、といった新しい役割分担が実現できる可能性を感じています。
AIを活用したデータアプリケーションの開発は、これまで以上に身近なものになりつつあります。 今後もこうした技術の検証を通じて、Snowflakeを活用したデータ活用の可能性を探っていきたいと思います。